「現代数学入門」構造

構造

これまでなかったものを構築するという点では、数学は建築に似ているところがあります。
構造という言葉も建築家ら持ってきたもののようです。
建築物は、木材、石、セメント、ガラス、……などの物質で出来ていますが、数学の構造は、点、直線、数、関数、集合、命題、操作、……などの概念から出来ています。
これらは、物質ではありませんが、物質から全く離れた概念ではなく、やはり客観的世界の中にあるものの何かの似姿なのは間違いありません。

構造とはそのような概念を一定の法則にしたがって結びつけた有機的な統一体といえます。
それらの概念を結び付けて、構成する法則を言葉で述べたものが公理です。

論理的な矛盾さえなければ、どんな公理系を考えても構いません。
という事は、どんな構造を考えるのも構わないということです。
ここまでは、無数に存在する構造の中で、一体どれが重要でどれがそうでないのかを判断する基準がありません。
しかし、世界の中で最も数多く現われる構造が、まず、初めに研究されなければならないということになれば、そこに選択するというものさしが生まれた事を意味します。

例えば、実数の集合はそのようなものです。
実数は、ばらばらな数の集合ではなく、代数的に加減乗除の演算によって結び付けられた体であり、位相的には、1次元の連続した空間です。

これは、無数に存在し得る構造の一つに過ぎませんが、客観的な世界の法則を探求するうえで最も強靭な構造なのです。

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