「現代数学入門」ニュートン力学と相対性理論

ニュートン力学と相対性理論 一

当然、ニュートン力学は欠点がありました。
当時から批判があったのですが、例えば、太陽と地球は引力で引き合っていて、また、太陽と惑星間を一瞬で引力が伝わるのはおかしいというものです。
これはライプニッツが既に指摘していた事ですが、これは遠隔作用と言って、ニュートンは何もないところを引力は瞬間的に伝わると考えていました。

しかし、この事はどう考えても辻褄が合いません。
途中、何もないところを力が伝わる筈がありません。
例えば、真空では、音が伝わらないように、力が伝わるのに途中何もないというのはおかしい、という批判は当時から存在していました。
音も光も伝わるのに時間がかかります。それなのに、引力のみは、瞬間で伝わるというのです。
これはおかしなことです。

このことを解決したのがアインシュタイン(1879~1955)の相対性理論です。
相対性理論によりますと、重力は瞬間には伝わらない、つまり、光の速度と同じ有限の速さで伝わるということです。

ニュートンのように無限大の速度で力が伝わるのはどうしてもおかしいですが、ニュートン力学は地球と月との関係ならば、地球と月との距離が30万kですので光ですと1秒で伝わりますので、別段、問題はありませんが、天の川銀河というもっと大きな宇宙を考えるときには、ニュートン力学では、上手くゆきません。
このニュートン力学の欠点がアインシュタインの登場で修正されたのです。

ニュートン力学と相対性理論 二

それでも、ニュートン力学は地上での運動を扱う分には何の問題もありません。
また、人工衛星の軌道を計算するのにもニュートン力学が使われています。
余り、遠い距離ではないので、力は瞬間的に伝わると考えても全く問題がありません。

ニュートン力学は太陽とか惑星の運動を微分積分を使って、それまでに存在していた法則を見事に簡潔に、そして美しく導き出したのです。
そして、ニュートン力学で、人類は、人工衛星を打ち上げたのです。
ニュートン力学を利用して何かを行ったというのは、この人工衛星を打ちとあげたのが初めてではないでしょうか。

ニュートン力学はアインシュタインの相対性理論の登場によって修正されましたが、相対性理論は、光速の近傍の速度での運動の事を述べていますが、日常の運動に関しては、ニュートンか力学さえ知っていれば、その仕組みが解かるのです。
ニュートンは、ほぼ真理といえるものを導き出したのです。
人工衛星を飛ばすのには、相対性理論は使う必要がないのです。
何故なら、人工衛星は光速に全く及ばない速度で運動するからです。

それほどに、ニュートン力学はものすごい発見で、そして、微分積分は、現在でも大変威力がある数学の武器なのです。

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