「現代数学入門」部分群の交わりと結び

部分群の交わりと結び

一つの群Gの中に二つの部分群G1、G2がある時、G1とG2の共通要素の全体、つまり、G1とG2の交わりG1∩G2明らかにそのまま部分群になります。

何故なら、a、b、がG1∩G2に属すれば、a、bはG1にもG2にも属しています。
それ故にabは部分群の定義によって、G1にもG2にも属します。
それ故にabはG1∩G2にも属します。
aの逆元に関しても同じことが言えます。
aがG1∩G2に属すれば、a^-1もまたG1∩G2に属します。

しかし、G1とG2の部分集合としての合併集合G1∪G2を作りますと、それは決してそのまま部分群にはなりません。

例えば、前に挙げた1,2,3を入れ替える操作の群でもG1={a1,a2,a3}とG2={a1,a4}はともに部分群になりますが、G1とG2との合併集合{a1,a2,a3,a4}は部分群にはなりません。
もし部分群であった場合、その位数4は全体の群の位数6の約数とならなければならないからです。

そこでG1とG2の双方を含む部分群を作ろうとすれば、どうしてもG1とG2の外に新しい要素を補う必要が生じます。
上記の例で言いますと、a2a4,.a3a4,……などの要素をどうしても含んでいなければならない筈です。

一般にGの部分群G1、G2が次のような要素からできているとき

G1={a1,a2,a3,……,ai,……}
G2={b1,b2,b3,……,bj,……}

その二つの群からできるあらゆる組み合わせの積

aibjakbl……ambn

という形の要素は全て含まれていなければなりません。
このような積を全て作ることは容易ではありません。
また、それらの積の間の乗法の結果を見通すことは一般に困難です。

しかし、特に、二つの部分群の一つが不変部分群である時、問題はとても簡単になります。
例えば、G2が不変部分群であるとすると、

ak^-1bjak=bs
bjak=akbs

となり、aとbを次々と入れ替えて、全てのa を左にすべてのbを右に持ってくると、この積をapbrという形に変形してしまうことができます。
それ故にG1とG2を含む最小の部分群は、apbrという形の要素全体の集まりです。

これをG1G2という形に書き表わすことになります。

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