数学が密かなブームということで、遠山啓著「現代数学入門」(ちくま学芸文庫)をもとに現代数学について解説しています。
近代までの数学は芸術的な言葉でいえば、自然主義、または写実主義と言えます。
ありのままを写し取る写真のようなものが近代までの数学です。
ところが、現代の数学は、20世紀に登場した抽象絵画やシュールレアリスムのような傾向がかなりあると言えます。
現実から離れてはいませんが、最早写実的ではありせん。
ピカソの絵などは、二つの顔が二重重ねのようになっています。
絵というものに対する考え方が現代は、近代とは変化しています。
現実からは離れていませんが、現実のある側面を極端に誇張したようなものが登場してきました。
ヒルベルトの『幾何学の基礎』から始まって、現代の数学は、そのような考え方、つまり、構造のような考え方が登場してきました。
数学と歩調を合わせるように抽象絵画やシュールレアリスム絵画が生まれました。
それが関係あるのかどうかはわかりませんが、然し、同じ時期にそのような考え方が、数学と絵画で現われてきました。
構造という考え方は、たぶん、歴史的に見て、数学らにいち早く登場したと思われます。
そして、最近は、数学の考え方が各方面に広がっています。
心理学や言語学、文化人類学など、構造という考え方が広がっています。
このように構造というものは、数学だけではなく、もっと広い概念だと言えます。
唯、構造という考えは20世紀に登場してきましたが、それが万能であるなどとは言えません。
また、簡単に数学が構造の科学だとも言い切れません。