数学が密かなブームということで、遠山啓著「現代数学入門」(ちくま学芸文庫)をもとに現代数学について解説しています。
これまで一つの空間の内部構造を研究してきましたが、次には、二つ以上の空間の間の相互関係を研究する必要が起きます。
二つの空間、R、R'があって、Rの要素xにR'の要素yを対応させる関数y=f(x)が存在するとします。
このfによってRの部分集合AがR'の部分集合A'に対応する時、A'=f(A)と書くとします。
ここで、fが連続であるというのはいったいどうゆうことなのでしょうか。
わたしたちはよく知っている1変数の関数が連続であるという条件を振り返ってみますと、
y=f(x)
この時、RもR'み一直線のつくる一次元の空間です。
Rの中でxが集合Aの点を取ってaに近づく時、aは明らかにAの触点です。
そのときf(x)はR'の中でf(A)の点が動きます。
そして、fが連続ならばf(x)はf(a)に近づきます。
つまり、f(a)はf(A)の触点になっています。
つまり、f(<A>)の点f(a)はf(A)の触点になってはいません。
それ故に
F(<A>)⊂<f(A)>
この条件を一般化して、一般のR、R'に適応して、fの連続性の定義とします。
RからR'への写像の逆を考えます。
f(x)=y
R'の部分集合A'に属するようなすべてのxの集合をAの原像といい、f^-1(A')で表すことにします。
A'がR'の中の閉集合であるとします。
<A'>=A'
fが連続ですので、定義によって
f(<f^-1(A')>)⊂<f(f^-1(A'))>=<A'>=A'
故にf^-1(A')は閉集合です。
つまり、連続的な写像において、閉集合の原像は閉集合です。
しかし、注意しておきますが、閉集合の像は必ず閉集合ではありません。
例えば、Rは一直線でR'は[-1.+1]の区間であるとし、y=sin(x)による写像を考えてみます。
AはRの中で整数の集合であるとしますと、nがAの要素である時、その像sin(n)はR'の中では閉集合ではありません。