「現代数学入門」集合

集合

そこでは、おのおのの部分品がお互いに同つながっているかについては、暫く不問にしておきます。

数学は具体的な器械そのものを研究したりはしませんが、主として頭の中で考えられたものの組み立てを研究します。

例えば、一直線を点に分解して考えるようなことを行います。
直線は、点に分解する事は実際できません。
何故なら、幅がなく長さだけある直線は、現実に存在しません。
それをまた、幅も長さもない点に分解する事は無尚更不可能です。
直線を点に分解するという事は厳密に言えば、フィクションの世界でしかできないことにあります。

しかし、集合論ではともかく直線を点を分解してその個数を数える事を行ったのです。

しかし、これはあくまで仕事の半分であって、後の半分は、一度分解した部分品をもう一度つなぎ合わせて何かを組み立てる事です。

そのような第2段階の仕事を行ったのはカントルではなく、ヒルベルトであったと言えます。

カントルが、次に来るべき第2段階の仕事をはっきりと意識していたかどうかわかりません。
カントルの行った仕事を見てみますと、どうもその辺のことははっきりと意識していないのではないかと思います。
彼の主な目的は1,2,3,……という有限の集合数やその計算法を無限の集合数に拡張する事に合ったのではないかと思われるのです。

そういう点から見ますと、第2段階の仕事をはっきりと学者の眼前に持ってきたのは、どうも別の人であった。
それがヒルベルトです。

ヒルベルトは、「カントルが私たちに作ってくれた楽園から、私たちを追放してはならない」と言っています。

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