数学が密かなブームということで、遠山啓著「現代数学入門」(ちくま学芸文庫)をもとに現代数学について解説しています。
当然、数学は芸術ではありませんので、抽象芸術と同じではありません。
芸術は、どれだけ抽象的になっても、それが感性から離れることはありませんが、数学は、完成から離れて知性だけで成り立つことが可能なのです。
例えば、△ABCというとき、その三角形がどんな色を持っているのか、どんな重さを持っているのか、という事は数学では問題になりません。
このような意味で数学は、感性から独立しています。
まず、△ABCを考えるときには、その三角形数三つの線分で出来ていると考える筈です。
その次に、その三つの線分がどのように結びついているのかに注目する筈です。
三つの線分とはいっても、それがバラバラであったり、一点から放射状に広がっている場合もあります。
そのように考えますと、線分の馬結びつきは千差万別あり得るのです。
このように各種各様の結びつきの中から、「二つづつ端が結びついている」という仕方で線分が結びついているのが三角形です。
こう考えますと、三角形という、ごく簡単なものでも、次に各側面がある事が解かります。
(1) 何からできているのか
(2) それはおたがいにどう結びついているのか。
今度は図形ではない例を挙げます。
例えば、ここに三人家族があったとします。この家族を考える時もやはり同じような順序で考えている筈です。
(1) 何からできているのか。つまり、どんな人間から校正されているのか。
(2) それらは お互いにどう結びついているのか。つまり、続柄はどうなっているのか。
を考えるとき(2)はひとまず考えないで置く筈です。
また、その家族と全くの赤の他人ならば、その家族の人数が三人以外続柄などは解らないと思います。