数学が密かなブームということで、遠山啓著「現代数学入門」(ちくま学芸文庫)をもとに現代数学について解説しています。
集合は、更に進んで、二つの集合を比較したり、一方の集合からもう一方の集合へと変換したり、一方の集合に写したりすることが問題となってきます。
例えば選挙人の集合
A={a1,a2,……}
と被選挙人の集合
B={b1,b2,……}
があった時に、単記の投票は誰が誰に都市有表したのかを問題とするならば、
a1→b2
a2→b4
a3→b1
……
という対応があったとします。
つまり、Aの要素からBの要素へと対応しているのです。
この投票の仕方の種類は全部でいくつあるのかといいますと、たくさんです。
例えば、Aが三個、Bが二個の場合ですと、
A={a1,a2,a3}
B={b1,b2}
全部で2^3=8種類あります。
このことはAがм個、Bがn個の時n^мとなる事から簡単に解かると思います。
以上のことから、AからBの対応、または写像の全体をB^Aと表す事にします。
これは集合Aから集合Bへの写像、または変換を媒介するものへと目を向ける事を意味しています。
以上のことは主として有限個の要素を持つ集合、つまり、有限集合に関してのことですが、これを無限集合にも押し広げようとしたのが、19世紀後半に生まれた集合論です。
集合論は、ゲオルク・カントル(1845~1918年)によって作り出されたものです。
以降で、この集合論がどのような意味を学問的に持つて来られるのかを見てゆきます。