数学が密かなブームということで、遠山啓著「現代数学入門」(ちくま学芸文庫)をもとに現代数学について解説しています。
集合には部分集合があるのと同様に群にも部分群があります。
それは、群の部分集合であって、しかもその部分だけで群をつくっているようなものなのです。
前に述べたD4で部分群を上げてみましょう。部分集合であったなら、
2^8=256
だけある事になりますが、勿論、部分群はそんなにたくさんはありません。
まず、
{e,a,a^2,a^3}
というC4があります。
次に、
{e,a^2,b,a^2b} {e,a^2,ab,a^3b}
があります。
その他も拾い上げてゆきますと、
{e,a^2} {e,b} {e,ab} {e,a^2b} {e,a^3b} {e}
があります。
部分集合と同様にD4自身も部分群に加えます。
以上のことから、部分群の位数は全て8,4,2,1で、8の約数である事が解かります。
また、{e}という位数1の群が部分群として含まれている事も明らかです。
部分群の位数には3とか5とか、8の約数でないものは含まれていません。
これを一般化しますと、次の定理が成り立ちます。
定理 ある群Gの部分群の位数がGの位数の約数である
証明 群Gのなかに部分群gが含まれるとしましょう。
その事を記号で書きますと、
g⊂G
ここで、gに含まれないGの要素があったならば、その内の任意の要素をa1としましょう。
そして、a1とgの全ての要素を右からかけて出来る要素全体をa1gで表します。
更に、gとa1gの双方に含まれない要素が仮にあったならば、それをa2とし、同様にa2gという集合を作ります。
g,a1g,……,a(k-1)g
を作ってこれでGがいっぱいになったとします。
つまり、集合として
G=g+a1g+a2g+……+a(k-1)g
と表されたとします。
この+は集合の合併を表すものとします。