数学が密かなブームということで、遠山啓著「現代数学入門」(ちくま学芸文庫)をもとに現代数学について解説しています。
空間的なものと時間的なものを共に見る新しい概念に「群」というものがあります。
群という概念は、現代になって生まれたのではなく、19世紀の初め頃、ガロア(1811~1832)によって目覚ましい発展を遂げました。
ガロアという人は『ガロア――神々の愛でし人』という電気が出ていて、知っている人もいると思います。
1811年に生まれて1832年に死んでいますので、20歳で亡くなっている事になります。
ガロアは数学に群という概念を持ち込んで、とても優れた成果をあげました。
しかし、ガロアの電気には、ガロアが行った数学的な説明は余りありません。
とても残念なことですが、ガロアがどんなことをした人かは余り知られていません。
では、どのような事をやったかといいますと、群とは、代数的構造の一種です。
もしくは、代数的構造の中の最も典型的なものだと言ってもいいくらいです。
群というのは、何らかの操作の集まり、操作とはオペレーションと言い換えれば、いいのかもしれません。
何らかの手続の事を言います。
例えば、私たちが上着を脱ぐ、上着を着るというのが一つの操作といえます。
上着を着るということが一つの操作だとしますと、その逆の無上着を脱ぐというのも一つの操作になります。
以上のことから、ある操作をと、その逆の操作を続けて行うと何もしなかった事と同じになります。
それから二つの操作を連結するということが行われます。
例えば、上着を着るという操作とコートを着るという操作を二つつなぎますと、上着とコートを重ねて一回で着るのと同じ操作になります。
また、右へ1メートルだけ移動するという操作と、右へ2メートル移動するという操作を二つつなぎますと、右へ3メートル移動した事と同じになります。
以上のようにお互いに出来る操作の集まりを群と言います。
群には必ず逆の操作が含まれています。
この操作の集まりというのは、一聴しただけではわかりにくいかもしれませんが、ある程度理解できればOKです。
例えば、テレビがお茶の間に登場した時代のテレビのチャンネルはダイヤルを回すも似のでしたが、仮にこのダイヤルを回してチャンネルを変えるテレビに12チャンネルあったとした場合、このダイヤルを右へ2だけ回すという操作、1だけ回すという操作、2だけを回す操作、3だけ回す、という操作があります。
そして、12を回すのというのは何もしない事と同じですので、これは0だけ回す。
つまり、操作の集まりが12個ある事になります。
この操作を二つくっつけて操作しますと、例えば、2だけ右に回し、3だけ右に回す事は、5だけ右に回す事と同じです。
二つの操作を結合して第三の操作が生じるのでこれは代数的構造をしています。
この二つのものを組み合わせて第三のものを生じるという事は、数学に重要な方法をもたらしたのです。