数学が密かなブームということで、遠山啓著「現代数学入門」(ちくま学芸文庫)をもとに現代数学について解説しています。
以上が形式論理学と集合との関係です。
しかし、集合は、形式論理学に留まりません。
例えば、二つの集合から新しい集合を作るのに「直積」という考え方があります。
例えば、50音の中でカ行、ナ行、マ行、ラ行は合わせて20の音があります。
その子音の集合は、
A={k,n,м,r}
と、母音の集合、
B={a,i,u,e,о}
を組み合わせによって作り出せます
C=|ka,na,мa,ra| |ki,ni,мi,ri| { ku,nu,мu,ru } |ke,ne,мe,re| |kо,nо,мо,rо|
つまり、以上のように集合AとBとから作り出される集合をAとBとの「直積」といいます。
直積の表記は、
C=A×B
のように表します。
また、Cがはじめにあり、それをA×Bと表す事を直積分解といいます。
直積分解が最も威力を発揮するのが座標です。
平面上の点Pを(x,y)という二つの実数の組で表す事は、平面上の点の集合を二つの実数の集合の直積に分解する事に相当します。
このことは、複雑なものを単純なものに分解し、また、簡単なものを複雑なものに合成する、いわば分析・総合の方法と関連している事が解かります。
また、A、Bがともに有限個の要素からできている集合ならば、A×Bの個数は、A、Bの個数の積になります。