数学が密かなブームということで、遠山啓著「現代数学入門」(ちくま学芸文庫)をもとに現代数学について解説しています。
1、2、3、4という自然数、または整数というものは、単なる集まりではなく、大証の順序が存在します。
この点で、自然数や整数は順序構造を持っています。
また、先述した血液型も順次構造があると言えます。
血液型がОとAとはОからAには輸血できますが、その逆はできません。
つまり、順序構造が厳然と存在します。
或いは「銀行の行員のメンバーを挙げなさい」と言って、単にアイウエオ順にあげて行けば、それは単なる集合でしかありません。
しかし、銀行の場合、頭取が最も命令権があり、それから専務、部長、課長というようになっています。
このような事が順序構造なのです。
この順序の構造を第三番目に挙げます。
そして、現代数学とは、この位相的構造、代数的構造、順序構造が主として扱われます。
そのために、何らかの問題にぶつかった時に、これはああいう構造があると、同じ構造が既に数学で研究されている場合は、その成果が実用できるのです。
この点で、現代数学は「数の学問」というよりも「構造の科学」といえます。
具体的な問題にぶつかった時に現代数学は、接触する場合が、明らかに増しています。
構造という考え方は、之だけでは、何の事がまだ、不明だと思います。
しかし、何となく現代数学というものが、数の事ではなく、構造を研究していて、それが現実にマッチしている事は解かってもらえたと思います。
数学というのは、問題があってちゃんと計算して答えを出す。
それが合っていればマル、間違っていればバツをもらう学問と考えている人は多いのではないかと思います。
実際、鄒が幕にはそういう一面がありますが、それは極々僅かで、それよりも大切なものは、所謂構造を理解する、若しくは、広義の意味で物事の構造的に捉えるということが、数学を勉強するうえで一番重要なポイントなのです。
そうすると、答えは間違っていても、構造を捉えていれば、間違いにしなくてもいい筈ですが、実際は、入学試験など、落とすために答えだけの正解を重視しているのが現状です。
それはともかく、この構造を捉えるという事は、数学以外の事をやっている人が盛んに行っています。
というよりも、人間は誰しも構造的に物事を捉える能力を持っています。
構造というのは、言葉で言い表すと、物事のパターン、型です。
型で考えるという事は人間は誰しもできるのです。
数学は人間のそのような能力を伸ばそうという傾向がある学問なのです。
または、そのような肩を体系的に発展させたのが数学という学問といえます。
このように、数学は、広い意味で、数学者でない人にも深く関わりがある学問ということです。
絵を描くことは物事を構造的に捉えている、また、音楽でも同じです。
この人間活動、特に創造的な活動に深く関わり合いがあるのが数学という学問です。