数学が密かなブームということで、遠山啓著「現代数学入門」(ちくま学芸文庫)をもとに現代数学について解説しています。
ケプラーは自分では観測しませんでしたが、先生のチコ・ブラーエ(1546~1601)が天文学者で観測の名人ともいうべき人でした。
ブラーエの膨大な観測データからケプラーは三つの法則を導き出したのです。
当時は望遠鏡がなく、肉眼で観測していたようです。
ケプラーは目が悪く観測できなかったのです。
ケプラーは惑星の中で火星の運動法則から手を付けたのでした。
火星は地球の一つ外の惑星ですが、ケプラーが見つけた第一法則は、「火星は太陽の周りを楕円の軌道を回っている」というものでした。
楕円には焦点が二つありますが、その一つの焦点に太陽は位置し、惑星は太陽を焦点とする楕円を描いて回る」というものです。
第二法則は、太陽と火星を結ぶ線に関して、一定時間火星が移動したその太陽と火星とを結ぶ線で囲んで三角形状の面積は同じであるという「面積速度一定の法則」です。
これは、面積が一定ということですので、当然、太陽から遠いところでは、火星の速度は遅く、太陽に近ければ、火星の速度は速いということになります。
この第二法則を見つけるのに大変苦労したそうです。
楕円で火星が太陽の周りに回っている事すら、初めは解からなかったのです。
ケプラー以前は、誰しもが円を描いていると思っていたのです。
よく見ると円が少しひしゃげている事にケプラーは気が付いたのです。
これは大変な苦労の末に見つけられたことです。
円でなければ何か、とその時ケプラーは、楕円だろうとヤマ勘でやってみたところたまたまうまくいったのです。
科学の研究でヤマ勘で行う事は日常の事で、大抵のヤマ勘は外れるのですが、ケプラーの利場合はうまく行ったのです。
第三の法則は、10年くらい遅れて発見されました。
これは、惑星の軌道の大きさと、一回りする時間との関係のことです。
これを具体的に申しますと、「楕円軌道の長い方の軸の三乗と一回りする周期の二乗が比例する」というものです。
これは、地球を回る人工衛星にも当てはまります。
ケプラーの第一法則と第二法則があれば、少なくとも一つの惑星の運動は解かります。
これを瞬間の法則に解析してみますと、微分するということになります。
ケプラーの法則は、長い時間かけて火星を見ていなければ解からないものです。
そうではなく、非常に短い時間、瞬間的にどんな運動をしているのか笑わすのは、微分です。
ケプラーの法則を微分で表せば、ニュートンの万有引力の法則になります。
つまり、太陽と火星はお互いに引力で引き合っているということになります。
その引力の大きさとは、距離の二乗に反比例するというものです。
ニュートンの万有引力の法則とケプラーの法則は、同じことなのですが、表し方が違っているのです。
ケプラーの法則はある一定の時間観測していなければなりませんが、ニュートンの法則では、瞬間の法則なのです。