数学が密かなブームということで、遠山啓著「現代数学入門」(ちくま学芸文庫)をもとに現代数学について解説しています。
人間の世界認識の仕方で人類史の大きな出来事が地動説の登場だと思います。
人間が地球という限られた世界で生きている場合には、大地は動かない天動説でよかったのです。
この天動説は、人間が世界認識する場合、ごく自然な事に思えます。
現在でも、地動説を知らなければ、大地が動いているとは考えられず、太陽などの天体が動いているとしか考えられないに違いありません。
しかし、その天動説をひっくり返して、不動の大地と思われていた地球が物凄い速度で動いているとする地動説の登場は、当時の人々にとってはショッキングだったと思います。
つまり、天動説に代わって地動説が世界認識の正しい仕方だということは、人類史の大事件といえます。
中世の人には大変衝撃的だったに違いない地動説はコペルニクス(1473~1543)が唱えましたが、このコペルニクス的転換は、しかし、こんなことを唱えれば、どんなひどい目に合うかわからないので、コペルニクスは自分の死後に、地動説を公表するように頼んだくらいです。
ところが、コペルニクスの後に、堂々と地動説を唱えたジョルダーノ・ブルーノ(1548~1600)という人は実際に焼き殺されてしまいました。
地動説は、当時の世界観の転覆に等しかったのです。
つまり、神へと冒涜でしかなかったのです。
それほど地動説が登場した当時は、人々に衝撃を以って受け取られたのです。